2020年09月03日
日本
特許・実用新案
判例紹介・解説
知財高裁「ボロン酸化合物製剤」事件の判決 -サポート要件(特許法36条6項1号)の争点について-
知財高裁は、アメリカ合衆国の保有する「ボロン酸化合物製剤」に関する特許(第4162491号)の一部をサポート要件(特許法36条6項1号)違反により無効とする特許無効審決の取消訴訟判決(令和2年7月2日付)において、「サポート要件を充足するには、明細書に接した当業者が、特許請求された発明が明細書に記載されていると合理的に認識できれば足り、また、課題の解決についても、当業者において、技術常識も踏まえて課題が解決できるであろうとの合理的な期待が得られる程度の記載があれば足りるのであって、厳密な科学的な証明に達する程度の記載までは不要であると解される。」と判示し、サポート要件の充足を認め、原審決を取り消しました。本判決は、サポート要件について厳格な運用を制限するものであり、特許出願人にとって有利な判決であるといえ、特許庁の審査実務にも影響を与えるものと予想されます。本稿では、本件知財高裁判決の概要について紹介します。
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