東南アジア諸国連合(ASEAN)の一員でもあるカンボジア(KH / Kingdom of Cambodia)は特許協力条約(PCT)への加入書を2016年9月8日にWIPOに寄託しました。2016年12月8日にPCTへの加入が発効します。カンボジアは151番目のPCT締約国となります。
※ カンボジアについて(外務省HPにリンク)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/cambodia/index.html
これにより、2016年12月8日以降に出願された国際出願は自動的にカンボジアの指定を含むことになります。また、カンボジアはPCT第2章(国際予備審査)の規定に拘束されるため、自動的に国際予備審査の選択国ともなります。
ただ、複数の現地代理人の情報によると、カンボジアの特許審査体制は不十分で、特許出願は少なくとも2015年まで自国での審査の結果として特許査定されたものはなく、PCT国際出願をカンポジアに移行しても権利化が可能なのか疑問があります。
しかし、2015年10月15日付当所IP情報で既報の通り、シンガポールで特許された発明はカンボジアで再登録が可能となりました。
※ http://www.seiwapat.jp/IP/jp-00116.html
また、日本とカンボジア両国の「特許の付与円滑化に関する協力(CPG:Cooperation for facilitating Patent Grant)」により、日本で特許を受けた出願のカンボジア対応出願は、申請によりカンボジアでも無審査で特許付与されることが、2016年5月9日に経済産業省のHPで公表され、その後、2016年6月27日にガイドラインが特許庁HPに掲載されました。
- ・経済産業省のHPにリンク
- http://www.meti.go.jp/press/2016/05/20160509001/20160509001.html
- ・特許庁のHPにリンク
- https://www.jpo.go.jp/torikumi/kokusai/kokusai2/cpg.htm
これらを考慮すると、PCT国際出願をカンボジアに移行する場合、シンガポールや日本の対応出願が特許されたことを条件としてカンボジアでも特許を認めることになるものと予測されます。日本の特許査定に基づくCPGの利用態様は後掲参考資料をご参照ください。カンボジア移行期限は早くても2019年6月8日になるため、それまでに何らかの方針が示されるものと考えられ、今後の推移が注目されます。
以上