要約:近時の知財高裁判例から、知財高裁平成30年(ネ)第10077号特許権侵害訴訟等控訴事件(ドワンゴv.FC2事件)の判決を紹介します。本事件は、動画配信システムに関する特許を有する控訴人(原審原告)が、米国内のサーバから日本のユーザに動画配信サービスを提供する被控訴人(原審被告)に対して特許権侵害を主張した事件です。本判決は、電気通信回線を通じたプログラムの「提供が実質的かつ全体的にみて日本国の領域内で行われたものと評価し得るときは、日本国特許法にいう「提供」に該当すると解するのが相当である」と判示して、被控訴人による特許権侵害を認めました。本稿では本判決について概説します。