近時の知財高裁判例から、知財高裁令和4年(ネ)第10046号大合議事件(ドワンゴv.FC2事件)の判決を紹介します。本事件は、動画配信システムに関する特許を有する控訴人(原審原告)が、米国内のサーバから日本のユーザに動画配信サービスを提供する被控訴人(原審被告)に対して特許権侵害を主張した事件です。本判決は、ネットワーク型システムを構成するサーバが国外に存在していたとしても、サーバが日本国内のユーザ端末にデータを送信して特許発明の機能を備えたシステムを新たに作り出す行為が我が国の領域内で行われたものとみることができるときは、当該行為は、属地主義の原則との関係で特許法2条3項1号の「生産」に該当する旨を判示して、被控訴人による特許権侵害を認めました。本稿では本判決について概説します。