インドでは、特許権者及び実施権者(ライセンシー)に対し、特許発明のインド国内での実施状況を定期的に報告することが義務づけられており(インド特許法146条)、この義務は特許権が期間満了又は年金不納・権利放棄等により消滅するまで継続します。インド特許の特許権者・実施権者には、インド国民の利益のために、特許発明を積極的かつ十分な商業的規模で国内実施をすることが法的に要請されているためです(同法83条)。実施報告の提出時期は規則で定められており、2020年規則改正前は、毎年1/1~12/31の報告を翌年3/31までに提出すると規定されていましたが、改正後は、前年4/1~当年3/31の一会計年度の実施状況をその年の9/30までに提出するよう改正されました(改正特許規則131条)。しかし、今般、2024/3/15に再度特許規則が改正されたことにより、実施報告の提出時期がこれまでの毎年9/30から、3年ごとの9/30、すなわち3年に1度の提出に緩和されました。本稿ではこの点について概説します。