2022年5月11日に成立した経済安全保障推進法に基づいて、特許庁は、2024年5月1日から特許出願非公開制度(以下、「本制度」)の運用を開始します。本制度は、特許出願の明細書等に、公にすることにより外部から行われる行為によって国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きい発明が記載されている場合には、内閣府の「保全審査」により当該発明を「保全指定」し、出願公開等の権利化手続の一部を留保すること、そして、出願人に対しては、保全指定された発明の実施及び開示等を原則として禁止し、情報流出の防止を図ることを制度の根幹とします。また、日本で発明され保全審査の対象となる発明については、外国出願より先に日本に出願しなければならないとする、いわゆる第一国出願義務制度が導入されます。本稿では、本制度の内容について概説します。